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警部補  少年係
【その他 推理小説】

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警部補  少年係-15

 後日、家族は東京連続殺人事件とは全く関係がないことが判明。報告書を書いて上司の警部に提出し、事件にならない事件が幕を閉じる。



 子どもは刑事である以前に「一人の人間としてどういう人なのか」ということを非常によく観察している。大人よりもすごく敏感で繊細に物事を感じ取る。経験が少ないだけ感性が豊かなのだ。だからなのか、一人の少年と関わったあとは半年分の神経がすり減った感覚に陥る。一件一件の少年事案と日々向き合って感じていることは「この少年には悪気があるのか?」ということだ。事実は別にして判断しなくてはならない出来事が近年増えてきている。特に「逮捕」については慎重な判断が迫られる場面が多い。特権を行使しようと思えばいくらでも出来る。でっち上げも可能だ。嘘でも自白させればいいのである。従って、夏浦瑠璃子もその気になれば逮捕だってあり得る。威力業務妨害罪や虚偽親告罪で簡単に検挙できてしまう。しかし、我々の判断で一人の一生を左右することになる。それがこれから社会を背負っていく少年であればなお更だ。

 十数年刑事をやっていれば実に色々な人と出会うものだ。容疑者、被害者、変死体、情報提供者、家出人など……。未解決事件など犯人を捕まえられず悔しい思い出が残っている事件が何件もある。でも、時には容疑者に同情したくなったりもするし、心温まる出来事があるのも、また事実だ。





 さて、僕は厳しい規則と訓練に警察学校で耐え、過酷な交番勤務を乗り越えて、晴れて念願の刑事になったのであるが、警察学校では「人を見たら泥棒と思え!」と頭から叩き込まれる。たいていの人間は染まる。一部には染まらない奴もいているようだが…。僕にはもともと人を疑うところがあったかも知れないが、叩き込まれればなおのことだ。刑事は警察官の中でも特に、探究心が強く、疑い深く、世の中のちょっとした矛盾点にも引っかかりを感じてしまう人が多い。もちろん僕もその一人だ。そのせいか「闇の仕置き人」という隠れ組織の一員としても活動している。巧みに法の網をくぐり抜ける奴は絶対に許せない。


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