警部補 少年係-13
「天留川駅の方に向かって歩いてた。」
(山田が×印の隣に南方向に向けて矢印を書く。)
「はい。」(地図を見ながら答える少年。)
「犯人は歩いてた?座ってた?」
「歩いてた。」
「どっちに向けて?」
「駅と反対方向。」
(山田が×印の隣に北方向に向けて矢印を書く。)
「犯人とすれ違った?」
「はい。」(力強く答える少年。)
「じゃ〜犯人見たんはここやな。」
(少年が書いた×印の上に丸印をグルグル書く。)
「はい。」
「学校方向に歩いて行った。」
「はい。」
(少し間をあけて父親の方を向く、山田。)
父親にも清子に聞いた内容と同じことを聞く。夏浦瑠璃子のことを聞いてから、自身のことも聞く。
「お父さんの名前は?」
「正治です。正しいに治安の治です。」
「年は?41歳です。」
「誕生日は?」
「12月19日です。」
「仕事は?」
「サラリーマンです。」
「どこの会社に勤められてるんですか?」
「よろず株式会社です。よろずは平仮名。」
(少し間をあけて少年の方に再び目を向ける、山田。)
「で、今回、お母さんの名前言ったのは何で?」(優しく語り掛けるように言う。)
「住所とか名前とか聞かれると思ってなかったからすごいビックリしてしまって…。」
「そうかぁ〜。はじめおっちゃんがかけた時、お母さん家にいいへんかった(いなかった)んやな。」
「はい。」
「それで、もう一回出たん?」
「いつもと違うと思ったから。」
「いつもよく電話出んの?」
「うん。」
「誠にご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。」
(父親が割り込んで、頭を下げる。)
「申し訳ありませんでした。」
(少年も父親の後から頭を下げる。)
(30秒ぐらいたってから頭を上げようとする少年。)