〈価値観〉-34
『オイ、正子。加藤修二って知ってるか?』
「はふ……ん!!……知ってるわよ……あぅ!!!」
男達は顔を見合わせ、ニヤリと笑った……やはり想像通り、修二が女神と崇めるのは、この色欲に塗れた《牝》だった。
この男達との出会いは、携帯サイトからだった。
真面目一筋の正子が、たった一度、興味本位で使ってみた時、この中と一人と出会った。
優しい言葉で正子を抱き、言葉巧みに変質的な遊戯を教え、遂には集団での性交を楽しむまでに堕とされてしまっていた。
それは正子の心に埋もれていた欲望を、男達が掘り返しただけに過ぎない。
生まれながらの肉便器は、富代ではなく正子の方だった………。
『まだまだマワしてやるぞ!嬉しいか?』
「う、嬉しいよぉ!!もっと…もっとぉ!!!」
富代と違い、正子の身体はかなり細く、縄が映える身体ではない……呼吸する度に肋骨が浮き上がり、それで肉棒を欲する様は、どこか病的に見えた。
男達からすれば、魅力があるのはむしろ富代の方で、あの身体を知ってからは、正子に対してあまり興奮は覚えなくなっていた。
(修二と正子が付き合えば、面倒臭い奴が消えるけどな……)
もともと正子は《遊び》なのだ。
飽きた《玩具》で遊ぶより、新しい方がイイに決まっている………。
[修二君、君の恋を邪魔する奴はもう消えたよね?協力なら何時でもするよ。頑張って《女神》を手に入れてね!応援してるよ!]
修二のパソコンに励ましのメールが送られ、それは直ぐに修二の目にとまった。
(……そうだ、そうだよ!今こそ勇気を出して…………正子さん………)
《終》