イケナイ恋愛 夜のパーキングで-4
その夜、隆志は江尻との密戯を通して本当のセックスを知り、雪絵にしてしまった過ちを思い出し、悔恨の念にかられた。
江尻のエロボクロのある口で若竿をしゃぶってもらっているとき、
「ごめん」という言葉が、彼の口からこぼれ落ちた。
「他の女のことを、思い出したの?」
江尻は猛る牡茎から口を離し、唾液の糸を指で絡めながら聞いた。
あっ。
隆志は、今自分が何を言ったのか、初めて気づく。
「ごめんなさい」
江尻は、隆志の竿を手の平にのせて、指先でちょんちょんと突きながら話を続ける。
「彼女のことかしら。うまくいっていないの?」
隆志が答えに窮していると、江尻は、ふふ、と笑った。
「奪い取ってやりたくなっちゃったわ」
「え」
隆志が頓狂な声を上げる。
「冗談よ」
もう一度、江尻はちいさく笑った。
電話の声を聞いて、彼女の、冗談とも本気とも取りづらい、女の誘う目を思い出した。
「彼女とは、うまくいった?」
今回、旅行に誘ったらどうかと提案したのは江尻であった。
彼女とはよく電話をするようになっていた。話題はもっぱら雪絵とのことについてである。
彼女はおせっかいであるのか、面倒見がいいのか。それとも自分より未熟な二人の恋模様を、さながら週刊誌のゴシップを読むように楽しんでいるのか。
隆志は江尻と話していると、心が安らいでいくのを感じていた。雪絵の隣にいるよりも、気を楽にしていられたのだ。
「いや、まだダメみたいです」
ゆっくりでいい、自分がつけた雪絵の疵が癒えるまで待とう、隆志はそう自分に言い聞かせていた。
けれども、すぐそばにいる好きな女を抱けないのが辛かったのは事実だ。
「そう」
ちいさく、短い声。自分の心中を察し、慰めてくれているように隆志には聞こえた。
ふいに、江尻に会いたくなった。
そして、彼女ともう一度、一緒にベッドに入りたいとも思った。
「いいわよ」
江尻ならそう言ってくれるだろう。
しかし、隆志は言葉を飲み込んだ。