「Mになった女王様」-3
「わるいわね、約束通り奴隷になってもらうわよ。バイクはそこに置いていきなさい。」
美恵は腕組みをして声高に言って、がっくりとうなだれる弘志をGTRの助手席に押し込んだ。
「いい?私の命令は絶対だからね。私が満足するまで今日はとことん付き合ってもらうわよ。」
美恵は鮮やかなハンドルさばきで明治通りを戻り、錦糸町駅近くのホテル街へ入った。部屋に入るなり美恵は冷蔵庫からビールを取り出して一口すすり、ソファに足を組んで座った。これから何が始まるのか不安な面持ちで弘志はつっ立っている。ラブホテルに入るのは初めてなのか、珍しそうに部屋をキョロキョロ見回しながら、それでも時々自慢の脚に視線をチラチラ向けているのが美恵にはわかった。
「じゃそこで服を脱ぎなさい、早く!」冷たい命令口調で言う。弘志は慌ててセーターやジーンズを脱いで全裸になった。
「ふーん、細いけど筋肉質でいい体してるじゃない。これならホテルのプールへ連れて行っても恥ずかしくないわね。それにモノも中々立派じゃない。ただし私、トランクスって嫌いなの。これからはこれを履きなさい。」
そう言って美恵はボストンバックから黒い布切れを取り出し、弘志の足元に投げた。弘志がそれを拾い上げると、超ビキニ、それもTバックのブリーフだ。恐る恐る弘志はそれを身に付けた。
「体が引き締まってるからよく似合うわ。ブヨブヨの中年男じゃ醜いだけだもんね。」美恵は満足そうに言って腕を組み直す。ボストンバックから鎖と首輪を取り出し自分で付けさせ、手始めにハイヒールを舐めさせた。
続いてムチのメッタ打ちからろうそく責めと続き、ベッドに大の字縛り付けたあと自分も全裸になって、いたぶられて尚そそり立つ男根にまたがり、久しぶりにこれでもかいうくらい悶え狂い若い肉体を堪能した。弘志のモノを股間にくわえ込み、自ら形の良い乳房を揉みしだき、揺れながら悶える様は官能美の一語につき、芸術的でさえあった。弘志は全身の痛みも忘れて美恵に見とれ、またその事が美恵の肢体を襲う快感を倍増させた。何よりも、初めてのSM体験であるにも関わらず、美恵のハードな責めにわがまま一つ言わず必死で耐える姿は美恵をより一層悦ばせ、視覚的にもムチ打つ度にそれを弾き返す若くたくましい肉体、苦痛に歪む美少年の顔は今までにないほど美恵を興奮させ、ムチをふるいながら濡れる股間を押さえて座り込む場面もあった。
一通り若い肉体を楽しんだ美恵は、大の字に縛られたままの弘志の傍らに腰をおろし、満足そうにタバコをふかしながら、上品な色で飾られた指先で弘志の胸板をすうーっと撫でた。
「ねぇ、あなたの事気に入っちゃった。本格的に私のペットにならない?相当痛がってたみたいだけど、満更でもなかったでしょ?きっとマゾの素質があるのよ。一から調教して完全に私の奴隷にしてみたいわ。」美恵の言葉に弘志は答えに戸惑ったが、たしかにこれほどの美人と付き合えるなら痛いのも我慢してもいいと思えた。服を脱いだ裸の美恵はまさに女神のように美しく、その甘い芳香はまるで麻薬のように痛みを痛みとは感じさせない。またその肉穴は、入る時はスッと入ってしまうのに、一度入るとまるで熱く熱したゴムのりのようにまとわりつき、弘志のペニスをひきちぎらんばかりに締め付ける。一度味わうと病み付きになりそうだった。
ほんのわずかの間返答に戸惑っていると、美恵はすっと立ち上がり、弘志の縄をほどきながら言った。
「別に嫌ならいいわ、ここで別れましょ。説得に時間をかけるなんてばからしいからね。」美恵はそう言うとさっさと服を着た。ビジネスウーマンらしく一切時間を無駄にしない主義だ。
「待って下さい、なります、奴隷になります。」弘志は慌てて飛び起きた。
「本当に?私の命令はなんでも聞ける?」
「はい、なんでも聞きます。」美恵はいじめるそうな含み笑いを浮かべた。
弘志が下宿を引き払い、美恵のマンションに飼われるようになったのはそれからすぐのことだ。