ハナミズキ-1
なかなか寝付けない夜だった。
つい一週間後に控えた結婚の事を考えて更に眠れなくなってしまうそんな夜だった。
ただミサの事を思うと自然に顔がほころんでしまう。
ミサはしがないサラリーマンの僕にはもったいないくらいの相手だった。
自分の幸せを噛み締めながら無理でも寝ようと瞼を閉じた時だった。
涼しい風が吹いてきた。
心地いい風だったが僕は不意に違和感を感じた。
吹いてくる方向がおかしい…窓のない方から吹いている。
僕は目を開くと闇の中、風が吹いてくる方を見た。
ベットの足元の方に白い影が立ってた。
風はその影の方から吹いている。
影が少しづつ少女の姿を取り出す。
パニックにならなっかたのはその影が優しげで、どこか懐かしげだったからだ。
「久美ちゃん…なの!?」
僕は思わず声に出して呟いた。
完全に少女の姿になった影がコクンと頷く。
ストレートの長い髪…草食動物の様な大きくてクリクリした瞳とすっとした小さい鼻。
ポッテリとした愛らしい唇。
間違いなく小学校の時、近所に住んでいた久美ちゃんだった。
“ケンちゃん”
久美ちゃんが当時と変わらない声で言った。
「で…でも…久美ちゃんは…」
僕は溢れてくる思いでその先が言えなかった。
久美ちゃんは六年生の夏…交通事故で。
その久美ちゃんが昔と全く変わらないちょっと大人びた様な微笑を浮かべると白いワンピースを脱ぎだした。
眩いばかりの裸体だ。
プールの時間の時、スクール水着の久美ちゃんをドキドキしながら見ていたのを思い出す。
“ケンちゃん”
呆気に取られている僕に悪戯っぽく笑いかけると裸の久美ちゃんは僕のベットの中に潜り込んできた。
「久美…ちゃん…」
幽霊みたいな存在なのもしれないが久美ちゃんの肢体にはしっかりと感触や体温があった。
そう言えば…遊びに来た久美ちゃんと同じ布団に潜りこんでいる所を見つかり親に怒られた事もあった。
あの時は服は着ていたけど。
「久美ちゃん」
懐かしさ…堪え切れない思いが込み上げてきて僕は涙を流して久美ちゃんを抱きしめた。
“ケンちゃん…泣かないで”
久美ちゃんは僕の胸の中から小さな手を伸ばし僕の涙を拭う。
“ケンちゃん…今日はお祝いを言いにきたの…それとね”
僕の大好きだった大きな瞳がジッと僕を見つめる。
ゆっくりと久美ちゃんの柔らかい唇が僕の唇に触れてきた。
幽霊だろうとなんだろう関係ない。
僕は小さな久美ちゃんを抱きしめると。
今ではすっかり大人になった口づけで久美ちゃんの唇を貪る。
幼い久美ちゃんもしっかりと僕の唇に応えている。
僕は口づけを交わしながら久美ちゃんの細い肩をそっと撫で上げる。
“ケンちゃん…”
僕の唇から自分の唇を離した久美ちゃんが震えながら僕の胸に顔を埋める。
久美ちゃんの意思が僕の胸に伝わってくる。
大人になれないで天に召されたこの少女は、僕によって女になる事を望んでいるんだ。
僕はそっと久美ちゃんをベットに仰向けに寝かせた。
“ケンちゃん”
久美ちゃんは薄っすらと微笑む。
僕は再び久美ちゃんの唇に自分の唇を押し付けながら久美ちゃんの小さな乳房を優しく揉みしだてゆく。
僕は唇をずらし久美ちゃんの象牙の様に美しい白い首筋に唇を這わす。
僕の耳元で久美ちゃんの荒い息使いが聞こえ。
まさぐっている乳房が何度も隆起している。
僕はスベスベの久美ちゃんの肌に指先を這わせ…下へ下へと下ろして。
“あぁぁ…”
久美ちゃんが切なそうな声を上げた。
久美ちゃんの彫刻のようなヴィーナスの丘に指先を這わす僕。
“ケンちゃん…”
久美ちゃんが軽く喘ぎながら不安そうな声を上げる。
「久美ちゃん…大丈夫だよ…愛してるから」
僕はそっと囁くと久美ちゃんの僅かに湿った部分に指を這わせ丁寧に愛撫を始める。
“ああぁぁ…ケンちゃん…”
久美ちゃんは気持ちいいのか僕の首に両手を巻きつけ…胸元に顔を押し付けてくる。
「ひとつになるよ…久美ちゃん」
僕は久美ちゃんの耳元で囁くと。
まだ少々硬い感じの久美ちゃんの秘部に僕のモノを埋めてゆく。
“ケンちゃん…私…幸せ…”
「僕もだよ久美ちゃん…」
僕の頭の中に白い光が溢れる。
久美ちゃん…久…美ちゃん…ちゃん…。
…………気がつくと月明かりの中、僕はひとりで寝ていた。
その胸元に久美ちゃんの好きだったハナミズキの花を抱いて。
「久美ちゃん!」
そのハナミズキを抱き、闇に叫ぶ僕。
「久美ちゃん!久美ちゃん…」
何度も何度も。
そして涙が止まらなかった。
“ケンちゃん…ありがとう…ケンちゃんは大切な人とすっと…すうっと幸せになってね”
完