唯高帰宅部茜色同好会!(第二章)-6
「ありえねえ!!」
「みんな!付いてきてる?」
「いるよー…はぁ…はぁ…こわかった」
「私もいます」
「……あれ?」
「……言うなマリィ、アイツは犠牲になったのだ」
「……」
「無事に入口にたどり着ければよいのですが…」
「大丈夫だって。逆にナースとイチャついてるかもな」
「……」
俺たちはキスケの生存をちょっとだけ祈ると、再び一列になって歩き出した。
「というか怖すぎよ!話しかけてくる脅かし役なんか聞いたことないわ!」
マリィがぶつぶつ文句を垂れる。
確かに怖かったが、そこでふと気付く。
男は俺だけじゃないか!
と、普通なら色めき立つのだが、まあこの三人じゃな…
三人とも可愛いんだけど、慣れすぎてなんとも思わないのが悲しい。
と、俺が邪な考えをしていたからなのか、偶然なのか、はたまたこれも予定どおりなのか。
突如、懐中電灯の光が消えた。
「うおっ!」
「ひゃあっ!」
「なっ」
「ちょっとアッキュ!冗談はやめてよ!」
「冗談じゃなくマジだって!ほら」
懐中電灯をマリィに渡すと、マリィは何度もスイッチを押した。
だがやはり点かない。
懐中電灯の光のない視界ははっきり言って、なんとなく前が見えるという程度だった。
「しょうがないから進むぞ…」
「なんでこんなことになっちゃったのよ…」
俺たちはこれ以上はぐれないように、前の肩に手を置いて進むことにした。
その後は物が落ちてくる、うめき声が聞こえるなどのトラップを、全員飛び上がりながらもなんとかクリアしていった。
「おい!光だ!出口だぞ!」
そうしてようやく、出口らしき場所を発見して安堵した。
心なしか全員早足になる。
だがいい加減、肩が重い。
もう出口だし、一列にならなくてもいいんじゃないか?
「…マリィ、もう前が見えるし離していいぞ?」
「はぁ?もうずっと前から離してるわよ?」
気付けばマリィは隣にいた。サキとアイサも同じように横に並んでいる。
だが俺の肩は、ずっと前から、そして今も重い。
「……へ?」
とっさに振り返る。