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唯高帰宅部茜色同好会!
【青春 恋愛小説】

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唯高帰宅部茜色同好会!(第二章)-12

***


「あれが夏の大三角…なるほど、ベガとアルタイルが織り姫と彦星なのですね」
「……」

俺とアイサは、特設会場でプラネタリウムを鑑賞していた。

柔らかな椅子に腰掛けて頭上を見上げると、綺麗な光景が視界一杯に広がっている。

ナレーションの声に耳をすませながらいろいろな星座を見ていると、なんとなく気持ちが和らいだ。

ちらりと隣の様子をうかがうと、アイサはぶつぶつとナレーションの言葉を反芻している。

アイサがプラネタリウムを見たいと言った理由はすぐにわかった。

やはりせっかく来たのだからただ座っているだけじゃなく、いろいろなアトラクションを回るのが普通だからか、ここに生徒は全くいなかった。

気をつかっているのだろう。
俺に変な噂が立たないように。

「…オリオン座、あれはよく見ますね」
「……」

別に俺はモテたいわけじゃない。
できることなら、何かと騒がれることなく普通に高校生活をおくりたい。

ずっと連んでいたい仲間もできたんだから、そっとしておいてほしいと常々思うくらいだ。


それに今、隣には初めて俺から付き合ってほしいと思った人がいる。


この間の大富豪だって、負けてもいいという気持ちで臨んだ。

負ければアイサに告白できるんだから。

そして俺は負けた。
でも、悩んだ末に自ら振られるという結論に至った。

告白がうまくいってもだめになっても、次に騒がれるのはアイサになってしまう。

それは嫌だった。

いくら悩んでも、いい方法は思いつかなかった。

このままじゃ、何もかもうまくいかずに終わってしまうんだろうな。


「ああ…終わってしまいました」
照明が点き、静かだった会場はざわつき始める。

「ユーリ、見ていましたか?」
「あ、ああ、見てたよ」
「美しい星空でしたね。茜色の夕焼けもよいですが、夜も好きになりました」
珍しくハイテンションなアイサの姿に俺の心臓は高鳴る。

こんな姿を、ずっと見ていたい。

「ああ、これからどうしようか」
二人して席を立つと、出口へ向かった。
「柄にもなくはしゃいでしまい、喉が渇きました…よろしければ、お茶にしませんか?」
「ああ、出て向かいにカフェがあったからそこにしよう」
「はい」


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