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想-white&black-
【女性向け 官能小説】

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想-white&black-M-2

「……そう。ありがとう瑠海さん。そう言えば私が寝ている間誰かいなかった?」

「え?」

「ううん、深い意味はないの。ただ、何となく、そんな気がして……」

誰かずっと手を握ってくれていたような、温かくて優しくて、気持ちがとても穏やかになった気がした。

二人はお互いの顔を見合わせた後、どこか複雑な面持ちで躊躇いがちに瑠海さんが口を開く。

「あの、確かにいらっしゃいましたよ。その、……麻斗様が、先程まで」

「え? 麻斗さんが?」

瑠海さんの言葉に息をのむ。

どうしてわざわざこんな酷い天候の中、そしてこの屋敷に足を運んだのだろうか。

あのパーティー以来私も楓さんも麻斗さんと顔を合わせることすらなかったというのに。

「どうして……、麻斗さんが……」

独り言のような私の言葉に瑠海さんが言いづらそうにしながらも教えてくれた。

「それが、花音様のお忘れ物をお届けにいらっしゃったとか。……その、花音様が麻斗様のお屋敷でお過ごしになっていた時の」

「私の?」

あの時の忘れ物とは何かあっただろうか。

元々身一つで飛び出たようなものだったから忘れるような物はなかったはずなのに。

だがわざわざ届けてくれるほどの何かがあったのかもしれない。

「それってどこに?」

「鏡台の前に置いていかれたみたいですわよ。こちらの箱です」

瑠璃さんが白い箱を持ってきてくれた。

細長い形をしたその箱に見覚えはないがそれを受け取るとそっと蓋を開けてみると、私は思わず目を瞠り指先が微かに震えるのを感じていた。

「あ……っ」

それは静かに輝く一粒のダイヤが埋め込まれているアンティークのネックレス。

「これ、ママの……」

形見だった。

あの忌まわしい事故が起きるちょうど一週間前に母が私にくれたものだ。

私が生まれる前からずっと大切にしている物なのだと幼い頃から聞かされ、子供心にあの輝きに憧れていた。

ここから逃げ出した時に確かに持っていった。

だがこの屋敷に連れ戻された時にはネックレスは手元から無くなってしまっていたのだった。

すっかり無くしてしまったとばかり思い、酷く悲しかったがそのことを口にすることはできないまま今まで過ごしていた。

再び戻ってきてくれたネックレスの箱をギュッと握り締める。


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