夏休みスペシャル-2
「耕貴もね、来たいって言ってたんだよ。
でも、部活なんだって。
だから、夕飯はうちに食べに来るって!
キヨもうちで食べるでしょ?」
「美佳の家でご飯か〜・・久しぶりだなあ」
この村に住んでる時、私と美佳と耕貴と哲といつも一緒だった。
「それより、キヨ。
てっちゃんに言わなくてよかったの?
キヨが来るってこと。」
哲は、今日私がこの村に来てることを知らない。
美佳と耕貴には言っていたのだが、哲に言う勇気は出なかった。
言ったら、もう喉のそこまで来ている2文字の言葉が口から零れてしまいそうで。
「うん、いいのいいの!
それより、耕貴、野球がんばってる?」
「めっちゃ頑張ってるらしいよ!
こないだなんかね!」
青く茂る田んぼ道を、私たちは会えずにいた2年間を埋めるように歩いた。
美佳は相変わらず、調子が良くて、明るくて、可愛くて。
「キヨ!」
「耕貴!」
「ちょ、美佳うるせえよ。
俺はキヨの名前呼んだんだけど。」
ガラガラと引き戸を開ける音と共に聞こえた、私の名を呼ぶ大きな声に反応したのは、私ではなく美佳だった。
部屋から玄関に顔を出す美佳を、耕貴は相変わらず上手にあしらう。