ゆびさき-6
「…だから、温めといたんです」
ニっと生意気な表情を見せる門真。
冬の風がキャンドルの火を揺らす。
媚薬のようなワインは私の体を熱くした。
「この方が、お好きかと思って」
本当は冷たい手なのかもしれない。
でも私が冷え性だと知っているから温かい手を差し延べる。
その気遣いができる男。
いつもそっと傍にいて、私を支える手。
ずっと触れてみたかった手。
それは間違いなく温かい。
「この手が、欲しいですか?」
そう言って、門真の指が唇に触れた…。
END