生徒会へようこそ【MISSION'2'ハムをスターにせよ!】-9
「む、オッさんには関係ありません」
「あ?お前らのことで俺に関係ねぇことなんかねぇんだよ」
「………」
オッさんのその言葉にさすがの宝さんも静かになった。
かく言う僕もオッさんの言葉になぜか引き付けられてしまった。
「男にはな、言いたくねぇことがあんだよ。悪いことじゃねぇ。自分でそれを言っちまったらダセェからだ。そういうプライドが香住にもあんだよ」
「プライド…ですか。分からなくは…無いです」
「なら、もういいだろ?宝。月曜日は俺が付き添ってやるよ、な?これでいいか、香住」
オッさんが僕に向かってニッと笑った。
「はいっ!ありがとうございます!」
僕はガバッと頭を下げた。
「…ごめんね、宝さん」
「構わん…」
宝さんがぽつりと呟く。
ああ、怒らせた。嫌われた。と思っていたら、僕の鼻先にビシッと人差し指があてがわれた。
「しかしそれ以外は付き合ってもらうぞ!いいな!」
「うん!分かった」
僕は大きく頷いてみせた。
翌週の月曜日。
今頃、宝さんとオッさんはハムさんをスターにすべく頑張っている真っ最中だろう。
僕はというと、お婆ちゃんをおんぶしてもはや見慣れた道を歩いていた。
「毎週月曜日はね、お妙ちゃんのお家でお茶をやるのよ」
「はい、楽しそうです」
こんなに晴れやかな気持ちの月曜日は初めてだ。
後ろめたいことが無い。焦りも無い。罪悪感も無い。
サイッコーッ!
「かすみちゃん、よねぇ?確か」
またもやかすみ『ちゃん』……んー、まぁいっか。
「はい。そうですよ」
「あなた、いつもより何だか嬉しそう」
おばあちゃんが背中でクスリと笑ったのが分かった。
というか、僕のこと覚えてたんだ。
「嬉しそう?」
「うふふ。こう言っちゃ失礼かもしれないけどね、いつも私より老いてるようだったもの」
「アハハ…そう、ですか…」
複雑…。僕、そんなに老けてたのか…?
「でも今は嬉しそうだし、楽しそう」
ああ、そういうことか。
一週間前までは別に楽しいことなんか無かったし、ダラダラ毎日過ごしてて、つまんない奴だったと思う。
おばあちゃんの言うとおりかもしれない。
そんな僕にとって生徒会に入ったということは、かなり大きな違いだと思う。
…遅刻も堂々と出来るし。