生徒会へようこそ【MISSION'2'ハムをスターにせよ!】-3
「つぅかスターって何だよ!?アバウト過ぎんだよ!全種目一位か?全国新記録か?」
「まぁ、そんなとこかな」
ハムさんがふふんと鼻を鳴らす。
「なるほど!そういうことですか!お安いご用だ!」
宝さんは黙ってて!お安いご用じゃないから!
「いや、無理だろ」
キミさんその通り…
「このハムには」
先輩に直接ハムって言っちゃった!?
「まぁ、俺もそこまで望んでない」
ハムさん望んでないの!?
「良かったー。スターとか言うからビックリし過ぎて目飛び出るかと思った!」
さっきからちょいちょい毒舌ですね、小鞠さん!
はぁ。
口に出さなくてもなかなか疲れるんだな…。
「じゃあ、何だよ。どうして欲しいんだよ」
気付けば、オッさんは机の上に乗っかってウ○コ座りをしている。
「スターっていうのはな、俺の中だけでいいんだ。頼むからさ、今年のスポーツテストお前らだけでいいから俺より下の記録を取ってくれ!」
ハムさんは顔の前でパンッと手を合わせた。
少し話をして、ハムさんは帰って行った。
宝さん以外、はぁっと深い溜め息を吐く。
「何故お断りしたのですか!?」
宝さんが立ち上がった。
「細井先輩、傷付いていたではないですか!」
傷付いたというより落胆?
「だいじょーぶ。あたしが後からメール送っとくから」
小鞠さんが力無く笑う。
あ〜、喜ぶだろうな。顔でれ〜ってさせて。
「そういうことではなく…」
「じゃあ宝は、あいつの為に全力を出さないってのか?」
パソコンを触ってないのはさっきから知っていた。
改めてパソコンをパタンと閉じ、キミさんは眼鏡を直しながら宝さんに問う。
「そ、それは…生徒のためなら…」
その言葉に宝さんが萎縮したのが見て取れる。
「そんなイカサマ、何の意味もねぇよ」
オッさんは机の上で胡座をかいたまま、小さく呟く。
「あいつ、毎年スポーツテストの成績が最下位だからって…」
そう。
ハムさんは毎年惨めだったから、自分の下に誰かがいる気分を味わってみたいと言った。
あの真剣さから、僕はもっと大事な違う理由があるものだと思っていたので、少し憤りを覚えた。