生徒会へようこそ【MISSION'2'ハムをスターにせよ!】-2
「キャーッ!寿絵瑠ちゃんそれ言っちゃダメーッ!キャハハハッ」
小鞠さんまで!?
「じゃあこいつにぴったりのあだ名何だ?あ?ハムだろ?ハム以外しっくりこねぇだろ?あん?」
もうやめたげて!
小鞠さんの隣でキミさんが俯き肩をふるわせて、笑いを堪えている。
それを見つめる遠い目のハムさん。
可哀想だ。ハムさんが不憫で仕方ない。
「あ、そろそろいいか」
しかも自ら軌道修正したよ。
「おう。話の腰を折って悪いな。何だ?」
折ったどころじゃないよ。複雑骨折ですよ。
しかし、当の本人は大して気にしているようでもなかったので、僕はハムさんの言葉に耳を傾けた。
一応全員ハムさんと向き合っている。
ハムさんがゴホンと咳払いをして口を開いた。
「俺をスターにしてくれ」
………。
沈黙が流れる。
「えっとハムよ、それはどういう…」
「俺を1ヶ月後のスポーツテストでスターにしてくれ」
本人は至って真剣なため、僕はキミさんや小鞠さんに目で訴えるしかなかった。
どういう意味なんですか?
だが、二人とも少し首を傾げただけだった。
そんな中、やる気が凄まじいことになっている人物が一人いた。
「分かりました、細井先輩!寿絵瑠があなたをスターとやらにしてみせましょう!!」
「おぉそうか!って、何でこんな所に宝 寿絵瑠!?後でアドレス教えて!」
「それは全身全霊でお断りする!!」
宝さんんんん!
そんなむちゃくちゃな要望、簡単に受け入れないで!
「おい、宝!俺を差し置いて勝手に話を進めんな!」
オッさんが噛みつく。
「むっ、なぜですか」
そんなオッさんを宝さんが睨んだ。
「まずな意味が分かんねぇ!毎年この時期になるとソフトボール投げのコツやら、短距離の特訓やらでウチに何人か来るけど、スターとかほざいてる奴なんかいねぇんだよ」
僕はスターがどうこうより、毎年そういう人が来るのかとそちらに関心があった。
生徒が望めば、ウチは本当に何でもするんだなぁ。