生徒会へようこそ【MISSION'2'ハムをスターにせよ!】-15
「ハムさぁぁぁぁぁぁぁんっっ!!!」
気がついたら、手摺りから身を乗り出して力の限り声を張り上げていた。
そしてもう一人同じように叫んだ人がいた。
宝さんだ。
二人目が合う。同じタイミングで頷き合うと、グラウンドに駆け下りていった。
ハムさんを挟むように、平行して走る。
ハムさんははぁっはぁっと息も絶え絶えで大粒の汗を掻いて、とても話せる状態じゃない。
目だけはちらりとこちらを見て、もう限界だと訴えていた。
「ハムさんっ!もう少しですから諦めちゃだめですよ!」
「そうだぞ、ハム!貴様なら出来る!限界なんてものはな、この世に存在しないのだ!」
僅かにコクリと頷く。
「ハムさん!頑張って!ハムさん!」
あと一周だけど、去れど一周なんだ。
この一周がどれほど長く感じるのか、僕にも分かる。
「もうすぐゴールだぞ!ハムはスターになるのだろう!?」
「そうですよ!もう少しでスターですよ!」
「ハム、スターになるんだろう!?ハム、スターになるんだろう!?」
ちなみに…ハムさんはハムスターになりたい訳では無い。一応。
「頑張れ!頑張れ!」
もしかしたら歩いた方が速いのかもしれない。
でも、ハムさんは走っていた。歩幅は小さくても、ゆっくりでも。
「頑張れ!頑張れ!」
「気合いを見せろ!」
確実に一歩一歩ハムさんはゴールに近付いて行く。
残り半周まで来た時、ハムさんの足がもつれた。
倒れる。
そう思った瞬間。
「頑張ってぇーっっ!」
ギャラリーから女の子の声がした。
ハムさんはフンッと踏ん張り、何とか持ちこたえまた一歩を踏み出した。
その声を皮切りに
「頑張れー!」
「あと少しだぞ!」
「頑張ってー!」
ギャラリーから数々の声援が。
「ハムさんっ」
ハムさんにもしっかり聞こえているようで、口を真一文字に結んで頷いた。
もう4分の1というところに差し掛かる。
声援は益々大きくなる。
「あと少しですよ」
「貴様ならやれる!」
成績で見たらかなり遅いかもしれない。
でも、もうそんなの関係無いんだ。
やれるかどうか。
ただそれだけなんだ。
ハムさんの努力がみんなの気持ちを引きつけた。
もし、これをやり遂げることが出来たら…