生徒会へようこそ【MISSION'2'ハムをスターにせよ!】-10
「はい、実は最近学校が楽しいんです」
「あらあら、だからなのね。あなたを見てると何だか若返っちゃうわ」
ふふふとおばあちゃんは本当に嬉しそうに笑った。
僕とは赤の他人なのに…。
そんな風に笑われたら嬉しくってくすぐったい。
他人なんだけど、他人だなんて寂しいこと言いたくない。
体の中がほんのり温かくなる。
「おばあちゃん!来週も任せて下さいね!」
「ふふ、ありがとう」
僕、生徒会に入って良かった。
次の日の朝グラウンドに行くやいなや、ハムさんが泣きついてきた。
「お前がいないせいで俺がどんな目にあったと思う!?」
ん〜、宝さんとオッさんのコンビか。
僕なら絶対特訓なんてしたくない。
そう思ったけど僕は「あはは…」と愛想笑いしかしなかった。
だけど、何だかんだ文句を言いつつも、ハムさんは毎朝欠かさずやって来た。
三日坊主かなぁなんて頭の片隅で考えていたので、少し申し訳ない気持ちになった。
そんな感じであっという間に1ヶ月が過ぎていった。
「あ、ハムさん!」
スポーツテストを明日に控えた帰り道、僕はハムさんと鉢合わせした。
「おぉ」
ハムさんは短く答えて片手をあげる。
僕はそんなハムさんの横に並んで足並みを揃えた。
「明日ですね、スポーツテスト」
「…そうだな」
ハムさんは前を見つめて、一瞬でずぅーんとした重いオーラを漂わせた。
あれ!?僕、悪いこと言ったかな。
ああ、そういえばハムさんは、特訓を毎朝欠かさなかったのは偉いが、どんなに贔屓目に見ても成果があまり感じられなかった。
だからか。
…ちょっと話題を間違えた。
えーっと。あ、そうだ。誉めてあげよう!
「あ、あの僕、ハムさん凄いと思いますよ」
「…どこが?」
う、まだ暗い…。
結構気にしてたんだ。
「だって、あんな地獄の特訓を毎日毎日。早起きだってしなきゃいけないですし、普通の覚悟じゃ出来ませんて」
「…そうか?俺、途中でへばってるけど」
「い、いやいや、続けれたってことが凄いんです!僕、正直こんなに続くとは思ってなかったですもん」
「ふーん。お前、正直過ぎてイラッとくるな」
うぅっ。
僕の頬にタラリと冷や汗が流れる。
口が滑るとかいうのは恐ろしい…。