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サクランボの少女
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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サクランボの少女-1

俺が小四の時、病院に入院したことがある。
六人入りの大部屋だが、その時は俺と一人の少女だけだった。
最初は馴染まなかったが、ある日おっそわけという理由(かたち)でもらったサクランボ。十二個という個数もちゃんと覚えてる。
それがきっかけというわけではないと思うが、それからその少女と仲良くなった。お互い心も開いてきていた。
ある日、その少女は病院の屋上で俺に言った。
「いっしょに退院できるといいね」って。俺は嬉しかった。たぶん俺は、その少女が好きになっていたのかもしれない。
その言葉は実現しなかった。まぁ、その少女が先に退院していっただけなのだが…。
俺が思ってるだけだろうが、少女も寂しそうな顔をしていた気がする。
名前も知らなかったけれど、今でもちゃんと覚えてる。
今度会った時には、またいっしょにサクランボでも食おうや。



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