唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-1
「はい、ドローツー」
「…ドローツー」
「ドローツーだぜ!」
「ドローフォーです」
「えへへ!ドローフォーだよー」
「……ちょ、ええええええ!?」
「ほらアッキュ、引けよ十四枚」
「ちょっと待て!おかしい!お前ら絶対俺を嵌めるつもりで残してただろ!」
「そんなにうまくいくわけないでしょ?はいウノ」
「まてこれは審議だ!っておい勝手に進めんなマリィ!」
「…上がりだ」
「お、ラッキー、俺も上がりだぜ」
「私も…これで上がれるのでしょうか?」
「うん、アイサも上がりだよ。あたしもウノ」
「待ってくれよ!なあ!」
***
「……はぁ」
俺は様々な柄の缶ジュースを両手いっぱいに抱えて廊下を歩いていた。
「今どきウノなんてなー修学旅行でしかやらねーんだよ」
愚痴をこぼしながら階段を上っていく。
「しかも負けたやつがジュース奢りなんて…サキは付いてきてくれると思ったのにみんなに止められてるし…」
俺達の部室から自販機のある学食までは結構な距離がある。
「…ふう」
途中、何度も缶を落としそうになる。
こうやって缶をたくさん持ってると、一個落としてしまうともうアウトなんだよな。
一個拾えば抱えていた缶をまた落として、また拾ってはという流れが延々と続いてしまう羽目になるのは目に見えている。
俺は細心の注意を払って歩き、やっとの思いで部室にたどり着くと、足でドアをスライドさせた。
「ただいま、好きなもんとれ」
そんなこといちいち言われなくても、メンバー達は勝手に好みの缶を手にとっていった。
「…イジメか!」