唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-20
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「あっはっは!なるほど!その手があったわけか!」
ミッションを終え、俺達はユーリが部室に戻る前に反省会を行った。
「そりゃ、極力サキに告白なんかさせたくないから引っ張ったんだ。でも無理だったんだからしょうがないだろ。最後はサキのおかげで告白を阻止できたんだし」
「うー…」
サキは機嫌を損ねていた。
「アイサ、お疲れ様」
「ありがとうございます、マリィ」
マリィはアイサに労いの言葉をかけた。
「ちょっとちょっと!俺っちには労いはないのでありますかー!」
「キスケには無いわよ。結局作戦がうまくいったのはアイサがいいアイデアを出したからなんだから」
「そんなぁー!最後の五分間引き止め作戦の時は頑張ったんだぜー?」
「どうせ語られずに終わるんだがな」
「……」
なんにせよ、ユーリが茜色を脱退するという危機は脱した。
後は戻ってきたユーリの前で誰かがボロを出さなければ。
「…ただいま」
そんな時にユーリが帰ってきた。
「おかえりー」
「おかー」
「お帰りなさいませユーリ様っ!」
「お帰りなさい…」
「お、かえり」
みんな少々ぎこちなく迎え入れた。
「ありがとなキスケ、トイレのことおしえてくれて。明日怒られるとこだったよ。三回も偶然会ったのは驚いたけど」
「あ、ああ、まあな」
ん…?
俺はそこで違和感を感じた。
なぜユーリは告白ができなかったのに、こうも表情が晴れやかなのだ?
「…」
マリィも気付いたのか、俺に目配せをする。
「それでユーリ、告白はできたのー?」
サキがそう言うと、みんな静かになる。
「できたよ、告白」
「はあ!?」
「うそ!?」
「ええ!?」
「なんで!」
「……!?」
その瞬間、みんながやべって顔をした。
「……みんな、どうした?」
「いや!何でもない!えっと、須藤先輩だっけ?」
「ああ、それがな、いろいろあったから待たせちゃってさ、待ち合わせ場所に着いたらもういなかったんだけど、戻る途中の廊下で前を歩いてるのを偶然見つけて、慌てて告白したんだけど先輩は振り返りもせずそのまま振られたよ」
なんてことだ…