唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-2
正式名称、私立唯ヶ丘高校帰宅部、茜色同好会。
通称、茜色。
それが俺達の集まりの名前。
帰宅部なんだから部活でもなけりゃ同好会でもないって?
俺達はそう呼んでるんだから気にしない。
ま、この集まりの呼び名が俺達の間でいつから定着したのかは覚えてないけどな。
それにさっきから部室なんて言ってるけど、ここは他と何ら変わりのない教室だ。
俺達は毎日、放課後になるとこの2―Aの教室に集まって、何の意味もない時間を過ごしている。
毎日くだらないおしゃべりをしたり、みんなで持ち寄ったものを飲み食いしたり、今日みたいにパーティーゲームで遊んだり。
俺達はこんなでも、この高校のエリート集団である特進クラスに在籍している身分。
だから他の連中には馬鹿にされてるかもしれないし、教師達は呆れているかもしれない。
でも俺達は、ここで自分に負担がかからない程度に楽しんでいる。
「おいアッキュ、俺の頼んだおしるこがないぜ」
「こんな時期にねーよばーか!ちくしょう!」
いつも俺にくだらないボケを振ってくるのがキスケ。本名は喜助。
黒縁眼鏡に坊主頭のいまいちイケてない男。
正直言ってそれ以外には全く特徴がないから困る。ああ、強いて特徴を挙げるなら、うざいくらいのお調子者だった。
この集まりの初期メンバーの一人。
「アッキュン、ありがと。大変だったでしょ?」
「まーな。あとアッキュンて呼ぶな」
いつも俺のことを気遣ってくれて、尚且つみんなのお世話係的なサキ。名前の紗季から。
こいつの家と俺の家はお向かいさん。ほんわかしていてみんなのマスコット的存在。
同じく初期メンバーの一人。
キスケとサキの二人は幼なじみで、幼稚園から今まで一緒。
最初は俺を含むこの三人で、放課後になると毎日ここで遊んでいた。
「ね、アッキュ、明日は何やる?」
「んー、まかせるよ」
俺の隣でもう明日のことを考えているのがマリィ。
ルックスもスタイルもよくて、実はお家がお金持ちという一見パーフェクトなお嬢さん。本名は真里。
この集まりでも盛り上げ隊長として活躍しているが、何故か俺達以外になびかないので校内での人気は高くない。
「アッキュ、ほら」
「さんきゅ、でも気にすんな」
律儀にジュース代を差し出してくるのがユーリ。
名前は有利なんだけど、父がロシア人でハーフ。父に似たのか知らないが端正な顔立ちでさらに長身、勉強もできるという、本来ならば俺の苦手なタイプ。しかも性格までいいから困る。悔しい。