唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-19
「え…アッキュン?本気で言ってるの!?うん…それしかないって言われても…」
アッキュンがとんでもない指示をあたしに告げた。
躊躇したけど、アッキュンに信じてるって言われたんだ。
「わかった、やる…うん、じゃあまた」
電話を切ると、あたしは駆け出した。
そして、再び須藤先輩と向かい合った。
「……あらあなた、まだストーキングしてたの?」
「…あの、須藤先輩…あたし…」
「え?」
「あたし、須藤先輩が好きなんです!付き合ってください!」
その言葉に流石の須藤先輩も目を見開いた。
「…もしかしてあなたが手紙の主?」
「…はい、待たせてごめんなさい…なかなか勇気が出なくて」
これがアッキュンの奥の手だった。
ユーリの出した手紙に差出人の名前は書いていないので、最悪、女子のあたしでも話が通ると踏んだのだ。
そして、先輩を帰らせる。
「ごめんなさい…あなたは可愛いけれど、流石にそういう趣味はあたしにはないわ」
当然のごとく振られてしまった。
でもこれでいい。作戦は遂行したんだ。
あれ、もし先輩が告白を受け入れてたらどうなったんだろう。
今になって、ちょっとだけ怖くなった。
「…わかりました、本当にお待たせしてすみませんでした」
そう言うと、先輩は何も言わずにあっという間にその場から立ち去っていった。
待たせたことを怒られなかったのはよかった。
でも…
ねえ、アッキュン?
何も告白じゃなくても、他にやり方があったんじゃないかな?
あたしの人生初の告白は、変な形で幕を閉じた。