唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-18
「流石はアイサ!よくやってくれた!ああ、わかった、引き続き頼む」
「やったの?」
「ああ、とりあえずユーリの足止めに成功だ」
電話を切るとテンションが上がってきた。
「どうやったって?」
「うちのクラスの掃除区域である四階男子トイレのトイレットペーパーを全て回収してから、ユーリにトイレットペーパーがないことをキスケが伝えたらしい。ユーリは真面目だから、掃除チェックをした後にそういう状態になるのは許せない。今はトイレットペーパーを補充するために職員室から用務員室に移動中だとさ」
「たらい回しってことね。アイサったら、えげつないこと考えたわね」
「ああ、真面目なアイサだからこそ思い付く作戦だな。本人は少々胸が痛むと言ってたが」
「アイサだもんね」
「…これで先輩が、相手が来ないのに我慢できず帰ってくれれば完璧だが」
もう授業が全て終わって一時間は経つ。
もう我慢の限界で帰るとは思うがサキに電話しておくか。
「…サキか?どうだ?な、まだ先輩は帰らないで体育館裏!?ああ…ああ、そうだな、まだ待機だ」
電話を切ると、途端に焦りが出てくる。
もしかして、ユーリが告白するってバレたのか?
それとも告白がうれしい…いや、かなりの人数に告白されたと噂があるしそれはない…
「アッキュ、落ち着いて」
「ああ…」
「奥の手があるんでしょ?使わないの?」
「確かにあるが…」
するとマリィの携帯に着信が入った。
「……うそ!うん、うん、わかった…アッキュ!緊急事態!ユーリが走って体育館方面に進行中!」
「なんだと!?」
待たせるのを嫌ったか…ユーリのやつめ。
焦りが焦りを生み、唇を噛む。
「マリィ、どうにかして五分引き止めるように言ってくれ」
「…わかった」
マリィがアイサに伝えている間、俺はサキに再度電話をかけた。
奥の手に全てを託す…