唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-14
***
「こ、こちらコードネーム…アイサ。ターゲットAは職員室から廊下を北側に移動中。日直の仕事は終了した模様」
キスケとアイサはユーリの尾行中、壁伝いに歩いていた。
「なっ…これはキスケがそう言えと。え?コードネームになっていない?そうですね…あ、はい…ラジャー…え、それを言うんですか?えっと…アイアイサー…ってなに笑っているのですか!」
「なに電話で面白いことやってんのさ」
「知りません!キスケは早く任務を遂行してください!」
「わかったよ…でもアドリブだから期待しないでくれよ?」
「最初から期待はしていませんので」
「う…みんな冷たいぜ…」
キスケはそう言ってユーリに向かっていった。
「よ、ユーリ、告白は済んだのか?」
「…あれ、キスケ?部室じゃなかったのか?」
「あ、ああ、ちょっち野暮用でよ。それよりさ、今度の土曜、ダーツしに行かね?」
「ダーツ?」
「かっこいいじゃん、ダーツ。一見マイナーな競技だけど、あれめちゃすごいんだぜ!」
「なるほど、別の話題を振って告白を忘れさせる作戦ですか、安易ですね」
アイサは変わらず物陰から様子を伺う。
「別に付き合ってもいいが、お前の目的はどうせ競技よりも女の子だろう?」
「そうそう!隣の席の子が話してるの偶然聞いちゃったんだよ!本当に偶然だぜ?」
「…悪いがそろそろいいか?俺はこれから告白なんだ」
「いや、待てって!実はな…」
「また後で聞いてやるから」
ユーリは困りながらも笑顔で応対した。
それにキスケは反応する。
「…なんだよその爽やかな微笑み…俺に足りないものはこれだったのか…よし!今から笑顔の特訓だ!」
「おう、頑張れキスケ!」
「ああ!また後で!」
そしてキスケは気持ち悪い笑顔で戻ってきた。
「キスケ…あなたはこれだから…」
「すいませんすいませんすいません」