唯高帰宅部茜色同好会!(第一章)-13
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「…アッキュってさ、サキの扱い、慣れてるよね」
全員が散り散りになったあと、部室でマリィがそう切り出した。
「そうか?付き合い長いからだろ」
「…信じてる、なんて一応は女の子なのに軽々しく言えるんだから」
「なんだよマリィ、俺は男女関係なく茜色の全員を信じてるぞ。まぁキスケは微妙だが」
俺は笑ってそう言ったが、マリィは笑わなかった。
「アッキュってサキに恋愛感情はないの?」
「ん?んー…恋愛感情なんて目で見たことはないな…気付いたらサキとキスケはずっと一緒だったし。勿論、大切なやつだけど、どちらかと言うと仲間意識だな」
「…そう、アッキュってさ、これから茜色の中で恋愛に発展しそうって思う?」
「どうしたんだよ、急に」
「今回のことがあったから訊いてるだけ」
「…そっか、まあいいんじゃないか?男はユーリだけが目立つけど、女性陣はみんな可愛いし」
「あは、やっぱり?あたし可愛い?」
急にマリィがそう言って笑い出したから安心した。
「…ばーか。それにしても、女性陣はみんなやっぱり、茜色のこと以前にユーリが好きだから阻止しようと頑張ってんじゃないかな?」
「え?」
「お前もそうだし、アイサだって珍しくノリノリだぜ?」
「……アッキュなら恋バナできるかと思ったけどこりゃ駄目ね」
マリィがそんなこと言って溜め息を吐いたのでなんだか悔しくなる。
「なんだよ!みんなユーリが好きなんじゃな…」
言いきる前に俺の携帯が振動した。
慌てて電話をとる。
「…ああ…了解、そのまま見張っててくれ」
そう言って携帯を閉じた。
「サキ?」
「ターゲットB、補足。場所は3−C教室前廊下…って言うとなんか本当にスパイみたいだな」
「あはは、了解」