ラブ湿気ー潤ー-1
「雨だー」
「あめやー」
そうだね雨だね。
「晴らして今すぐ!」
「しゅぐ」
なぜだ!?
「いや、普通に考えて無理だろ」
「無理じゃない。こないだテレビでやってた」
それは特殊な人かタネも仕掛けもあるテレビだろ。
「俺には出来ねぇよアホ」
「…使えねぇ」
「ちゅかえね」
ぇえ〜。
俺がおかしいのか?晴れさせられない俺が少数派なのか?
自信とか存在意義を失っちゃうよ?
「こらあっく。母ちゃんの口真似すんな」
とりあえずここは父親としてそんな汚い言葉に注意だな。
「しゅんな」
うはっ、可愛い…。
「こらあっく〜。父ちゃんに返事すんな」
理不尽にも程があるだろ!
「んっ」
頷いちゃったよ!
「あっく、そんなこと言うな」
いうなって言ってくれ。
「………」
律儀か!二歳児のくせに律儀か!
そんな真顔で俺を見つめないでくれ。泣きそうだぞ、まじで。
でも見てくれなくなるのもイヤだから言ーわない。
「あっく、あんま父ちゃん見ちゃダメ」
何!?
お前は俺のささやかな幸せすら奪うのか?
「目ぇ腐るよ」
存在が害か!
ひでぇ、さすがにそれはひでぇ、嫁よ。
「んっ」
だからあっく頷いちゃだめ!
「お前なぁ、さすがにそれは無」
「雨だー」
「あめやー」
シカト?
二人して同じ格好で窓に張り付いちゃって…羨まし。