ラブ湿気ー潤ー-3
「あのさー、何で雨じゃダメなんだよ。いいだろ、別に。雨降んなきゃ生き物死ぬんだぞ」
「湿気がいやだから」
そんだけ!?
「あと」
テルテル坊主を作る手は止めずに口を開く。
「晴れたらあんたと出掛けたかったの」
…はい?
「あっくと二人で公園とかお散歩とかよく行くけど」
…はい。
「あんたも一緒だったらもっともっと楽しいじゃん」
それが当たり前。当然じゃん。
そう言いたげに恥ずかしがりも照れもせずに笑いかけられると、不思議なことに心は潤っていく。
人間扱いされてなかったことも、水に流してやろうと思う。
「よーし!あっく!頭の中身のティッシュ丸めちゃって!」
「んっ」
「湿気あっちゃだめなのか?」
「えー?ダメダメ!いろんなものが湿っちゃうんだよ?髪は広がるし、カビけるし」
「人も?」
「人ー?あーお肌がベタベタになったりする」
「べたべたー」
あーあ、だめだ。このアホに俺の気持ちなんか分かりっこない。
お前次第で俺は乾いたり湿ったりめんどくせぇんだよ。
「よーし、出来た!」
大中小のテルテル坊主が仲良く並んで窓枠に吊された。
「次の休みは晴れますよーに」
「よーに!」
そうだな。
「晴れますように」
でもたまになら、湿気が発生する雨の日も悪くないな。
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