ラブリー・ワイフ/世話女房-1
[ …でさぁ悪りぃんだけど、見てやってくんない? ]
かつての悪友 涼子から3ヵ月ぶりの電話が入ったのは雨が続く7月の事だった。
新婚早々で検査入院?…
だから亭主の面倒、あたしに見ろだぁっ?
[ そりゃいいけどさ…
男なんて放っときゃ勝手に生きてくんじないの? ]
[ それがダメなのよ。
あの人、あたしがいなきゃひとりで外食もできないしさぁ…
パンツだって出してやらなきゃいつまでも履きっぱだしさぁ… ]
亭主の話になると口調が甘え声になるのがちょっとムカつく…
[ わかったよ!
もういいってば…
飯食わせて、あんたの代わりちゃんとすりゃいいんだろ? ]
[ さすが倫子、助かるわぁ…
やっぱ、持つべきものは親友だよ。 ]
涼子とはかつてよくつるんでた。
休日ともなれば二人つるんで男漁りにでかけてはいい男捕まえてやりまくったものだった。
そしてある時、涼子がこう言った…
[ あんたにゃ悪りぃんだけどさ…
あたしもう、いいかな…なんて思っちゃってさぁ…
今度はホンキなんだぁ… ]
年下の男を捕まえて自分だけさっさ結婚してしまった。
それからなんだか疎遠になりつつあって…
前は毎日話してたのに実に3ヶ月ぶりに連絡があった。
なぁにが、あの人ダメなのよぉなんだよっ!…
… … … …
ポォ〜ン♪
ピンポォ〜ン♪
[ あ…みっちゃん。 ]
相変わらずトボけた亭主だった。
アイドル好みの涼子を思えば、こんな…
へのツッパリにもならないような男がいいのか知れないけどさ。
せめてもうちょいアイドル顔だったらあたしだってやる気が出るってもんなのに…