秘密-2
(私、妊娠してるの…?)
(どうしよう…)
私は頭から布団を被り、震えていた。
篤也はたぶん『産んでほしい』と言ってくれるだろう。
だけど、素直に喜べない。
そのことがお腹の子に申し訳なかった。
こんな感情はお腹の子に良くない。
わかってはいる。
わかってはいるけど…
『間違いであってほしい』
そう思ってしまうサイテーな自分がいた…
土曜日。
朝もう一度調べてみたが、結果は『陽性』
今日は仕事が休みなので、ネットで調べた産婦人科に行ってみた。
最近出来たらしく、小さいけどとてもキレイなとこだった。
誰か知ってる人に会わないかドキドキした。
渡された問診表を記入し、受付の人に返した。
受付の人が一通りチェックする。
『こんな歳で妊娠したか確認にくるなんて、何やってんのかしら』
そう思われているんじゃないかと胸が苦しくなった。
「ではお名前をお呼びしますので、あちらでかけてお待ち下さい」
待合室にはすでに一組の男女がいた。
女性のお腹が大きい。
二人はエコーの写真を見ていた。
幸せそうに笑いあっている二人がとても羨ましく、とても遠い存在に見えた…
きちんと調べた結果、私は妊娠していた。
お腹に赤ちゃんがいるなんて不思議な感覚。
でも、エコーの写真を見ながら思った。
『大切にしたい』と。
私は産婦人科を出てケータイを手に取った。
悩んでいても仕方ない。
前に進まなくちゃ。
(まずは篤也に知らせ…)
そう思っていたらケータイが鳴った。
陸先輩からの電話だった。
未だにこうして時々電話がかかってきていた。