フリースタイル6-1
『沙織からアドレス聞いた。恭介』
起きたらメールが届いてた。
あたしは慌てて返信した。寝起きだったから間違いがないか何回も読み返して。
『この間のライヴカッコ良かったよ♪また誘って☆』
でもメールはそれで終わった。
『次の土曜日空いてるー?』
代わりに来たのがヒカルくんのメール。
残念…なんて言ったらヒカルくんに失礼だよね。
空いてるよ、とあたしは返した。
『カラオケ行かへん?』
カラオケ??
それってデート??
と、思ってたらこれからの打ち合わせ。
ヒカルくんは次のライヴであたしと歌う曲を黙々と決めている。
少しお洒落してきたあたしがバカみたい。
「やっぱなー、折角2人で歌うねんから恋愛モノがええよなー」
歌本をペラペラめくりながらヒカルくんは言った。
「Nellyのdilemmaとかは?」
あたしはそう言いながらサビの部分を思い出していた。
結構高い声だったよーな…
「あれ不倫物語やで。それに洋楽は難しいやんな」
そーなんだ。
「じゃあ加藤ミリヤのlalalaとか」
「俺ラップやん」
…確かに。