フリースタイル6-5
「笑いたきゃ笑い!」
いつになく鋭くあたしを見る。
「え!素敵だと思ったよ!」
もちろんお世辞ではない。
「ヒカルくんが作ったの?」
ヒカルくんは顔を赤くしながら頷く。
「ふられたけどな」
あたしはそんなヒカルくんを見ながらさっきの歌詞を思い出す。
「あたしもね、今恋してるの」
なんでそんな事をヒカルくんに言ってしまったのかは、
多分あたしの中の訳わからない気持ちを誰かに共感してほしくて
そしてヒカルくんならわかってくれると思ったからだ。
「...聞かしてくれる?」
あたしが思いのほか真面目に言ったので、ヒカルくんは優しく応えた。
今思えばこの気持ちをちゃんとした言葉で誰かに伝えるのは初めてだ。
「...ヒカルくんの知ってる人」
ヒカルくんはうーん、とちょっと考えた。
「...俺、とか?」
にやっとして言う。
「まさか!!!」
あたしは首をブンブン振ったので、ヒカルくんは慌ててみせる。
「冗談やん。」
「そやけど達也ならオススメできへんで」
「違う!その相方...!!」
ヒカルくんははっとあたしを見る。
「え!?まさか、恭介!?」
あたしは自分で顔が赤くなるのが分かった。
なんなの、コレ。
あたしってこんな反応するやつだっけ?
「実香ちゃん、恭介が好きなん!?」
あたしは黙って頷く。
ヒカルくんは驚いてるのか呆れてるのか、どちらにでもとれる表情で言った。