フリースタイル6-2
「A Whole New Wouldは?洋楽だけどあの歌スキ」
その瞬間ヒカルくんの目が輝いた。……気がした。
「それや!!」
ヒカルくんはそう言いながらリモコンをピコピコして曲を入れる。
「そうと決まったら早速練習やで!」
同じ曲を歌いまくって2時間。
ヒカルくんにしごかれながらようやく電話が時間切れを知らせた。
「よっしゃ!帰るで!」
そう言ってヒカルくんは電話を切った。
延長とか言い出したらどうしようかと思ったわ…。
お会計を済ませて外に出るともう真っ暗だった。
「次のライヴではさっきの曲と、あとオリジナルを一曲やろうと思うねん」
あたしの横を歩きながらヒカルくんは言った。
「オリジナル?」
「うん。それで何曲か候補あるんやけどウチで聞いていかへん?」
「………いいけど」
あたしは少し間を空けて言った。
やっぱり少しだけ抵抗がある。少しだけね。
だけどそんな事あたしが考えてるなんてきっと思ってないヒカルくんは、「ご飯作ったる!」と張り切っている。
「…ヒカル?」
その時後ろから声がした。
「ん?」
ヒカルくんはキョロキョロ辺りを見回す。
でもあたしは声で分かった。
今一番聞きたかった声。