邪愁(その1)-5
「…もっと深く…奥まで呑み込むのですよ…奥様…」
蠱惑的な笑みを浮かべた男はそう言いながら、卵を陰部のより奥深いところに含ませようとする。
私はしだいに熱くなる肉奥に身悶え、卵の生あたたかさに膣襞が覆われることの妖しい愉悦に、
身を捩らせていた。
「…あっ、あっ…ん…」
咽喉の奥から淫靡な痺楽とも苦渋ともつかない、搾るような嗚咽が私の唇からほとばしり出る。
熱くなった膣襞の粘膜が卵との吸着度を増し、襞がゆっくり収縮しはじめる。
私は卵を含んだ性器を突き返すようにのけぞり、髪を振り乱しながら熱っぽい喘ぎを繰り返した。
「…割るのですよ…ペニスの卵を割ってください…」
太腿を堅く閉じた私は、くびれた腰を悩ましくくねらせる。ベッドに腕を縛りつけられた体全体
に異物を含んだ性器を感じ、腰を左右に振り、乳肉をぶるぶると震わせ、歯を噛み鳴らしながら
必死でその卵を肉襞で緊めようとしていた。
ゼラチン状の卵は襞に吸いつき、膣襞の中でゆらゆらと揺れているようだった。一瞬、私の背筋
が硬直したとき、ペニスの卵はゼラチンが細かく崩れるように割れたのだった。
男はニヤリと笑い、満足したように葉巻をくわえた。
粘った黄土色の液体が、私の陰部の裂け目からわずかに滴り、むっちりとした白い腿の内側を流
れてくる。
私の中でペニスが生まれ、蛇の赤子のようにとぐろを巻いているのだ。そして陰部の中に流れ出
した卵の粘液が、性器を内側から掻きむしるように烈しい刺激を与え始めていた。
粘膜に快感とも苦痛とも言えない烈しい痛みが襲ってくる。腰を蠕動させ息を弾ませ、背中を悩
ましく喘がせながら汗でしっとり濡れた髪をふり乱した。手首に縄が喰い込み、ベッドがギシギ
シと烈しく軋んでいた。
…ああっ…うっ…
その苦痛に耐えるように、私は白い喉を艶めかしく動かす。真っ赤に焼けたペニスが、まるで
肉襞を溶かすように膨らみ、堅さを増し、襞を炙る。それは、まるで無数の人食い蟻が肉に群が
り、膣襞と子宮が喰い尽くされるような痛みと濃艶な快感を与えていた。
無性に欲しかったペニス…
そのペニスが、私の体全体を執拗に激しく犯し、支配してくれる。性器の痙攣と弛緩の悦びが、
私の体の隅々まで恍惚とした至福のときを与えてくれる…。