告白パニックデイ-1
――吾妻 創史は、悩んでいた。
「んー〜……………」
「何一人で唸ってんだ吾妻。気色悪ぃな」
「んだとコラ……、って狭か。何?俺唸ってたの?」
俺に声を掛けてきたのは、クラスメイトの男子――遊月 狭(ゆづき はざま)だった。
「んだよ、無意識かぁ?昼休み入ってからっつーもの、ずっとそんな感じで『あー』だの『うー』だの言ってたじゃねーか」
「……マジでか」
「マジでだ」
自分では全く自覚がなかったのだが……恥ずい。
「んで?柄にもなく何をそんなに悩んでやがったんだ?」
「あー、えと……」
……言っちまうか?
いやちょっと待て。あー絶対無理だ無理無理言えるワケねぇっ!
「……なんでもねーよ」
「いや、なんでもねーわけねーだろよ。まぁ言いたくないなら聞かんけどよぉ」
変なやつだなぁ、と狭は頭をポリポリかいている。
だって言えるワケ、いや……聞けるワケねぇだろ。
――『水澄 小羽に彼氏がいるかどうか知ってるか?』なんて。
▼▼
「そういや小羽。あんた彼氏とかいたっけ?」
「彼氏ー?いないよん」
創史が今現在頭を悩ませている問題の解答は、本人の口からあっさりと出されていたりしたのだった。
同時刻、隣の教室での話だが。
昼休みに仲のいい女の子で固まって昼食を取るのはもはや恒例行事である。
水澄 小羽もその中に混じる一人だった。
「どったのいきなり?」
「いや、来月クリスマスじゃん?独り身の女の子だけで集まってクリスマスパーティーやろうかなぁとか考えてるワケよ」
「へー。……ん?灯は安良君と過ごさないの?」
素朴な疑問を投げ掛けると、相手の女の子――真白 灯(ましろ あかり)はすごく嫌そうな顔をした。
「なんで私があの低知能型単細胞原始生命体とクリスマスを一緒に過ごさなきゃいけないのよ」
「うわぁ、そこまで言わなくても……。いやさぁ、なんだかんだで二人って仲いいじゃん?幼なじみなんでしょ?」
「幼なじみなだけ、よ。ぶっちゃけそんな珍しい肩書きでもないわよ」
例えば、と灯は横に座る二人の女の子を指差す。
「この二人だって幼なじみの男子くらいいるわよ」
「ふぇ?な、何?私?どうしたの?」
「んー?呼んだ?」
二人――食後のデザートに夢中になっていた満月 夢逢(みつき ゆあ)と、前に座る別の女の子と喋っていた篠宮 一葉(しのみや いつは)は、いきなり話題が自分に振られてキョトンとしていた。
なるほど。たしかにそういえばそうだ。