告白パニックデイ-5
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屋上に続く階段、その一番上の踊り場。
学校の屋上っていえば、マンガや小説なんかでは『立入禁止区間だけど扉が壊れてて入れる秘密の場所』みたいに扱われる事もあるが、無論ウチの学校の扉は壊れてなどいないし、鍵がちゃんと掛かっているから入れない。
従って、その屋上に続く階段なんて滅多に人は通らない。
「……はぁ」
俺は一人、そんな場所でため息をついていた。
狭にでも見られたら笑われそうな光景である。
(何をやってんだ、俺は)
意味もなく水澄の彼氏事情を知りたがって一人悶々としたあげく、それが分かったら一人でため息などついている。
我ながら気味が悪い。
(……いや、まぁ)
薄々気づいてはいるのだが。というか、理由なんてそれ以外に考えられない。
つまりは、俺が水澄に恋をしているんじゃないか。という事だ。
――だけど。
「わっかんねぇなぁ……」
恥ずかしながら、こんな感じは初めてなのでこれが恋なのか何なのか分からないってのが現状だ。
中学生か。
前から仲は良かったし、……そりゃ、ちょっと可愛いなぁとも思ってもいた。
でも彼女にしたいー、とかでは全然なかったはずだ。
けど、あの日。
アイスをおごらされてゲーセンで遊んだあの日、俺はなんとかして自分の力でテディベアを救出しようとする水澄を見て、
――『可愛い』と。
もっとたくさんこいつを見ていたいなぁ、と……そう感じてしまったのだ。
――そしてその気持ちは、時間が経った今でも変わってはいない。
「……一緒にいたい、か」
狭の言葉が頭に浮かぶ。
なんだよ。答え、もう出てんじゃねーか俺。
……と、下からバタバタと誰かが階段を駆け上がってくる音がした。
「あぁもうなんでこんな……ってうわ誰かいるっ!?」
ひょっこり顔を出したのは――水澄だ。
「あ、なんだ吾妻か……っていやいや。アンタなんでこんな変な場所にいるの?」
「いや……同じセリフをそっくりそのままお前に返したい」
「私?教室にいたら皆がいろいろ聞いてきてうるさいから逃げてきたのよ」
やれやれ、と水澄は俺の横にちょこんと座った。
(皆から逃げてきた……ってのは、多分さっきのアレについてだよな)
廊下に響き渡った叫び。
ホントにこいつは、いつも無駄に元気がいい。