告白パニックデイ-2
「あー、狭君と沖田君かぁ。でも狭君は夢逢っちの彼氏じゃん」
「……それは特例よ。幼なじみで彼氏とかほとんどいないっつーの」
「そんなもんかなぁ。あ、一葉ちゃんはクリスマスパーティーどうするの?」
「私はその日は家でクリスマスパーティーやるらしいから……行けそうにないかも。ゴメン!」
ホームパーティーかぁ。
いいなぁ、ウチはあんまりそんな事しないからうらやましい。
……あ、一葉ちゃんといえば。
「あのさ、一葉ちゃん」
「ん?なーに、みすみん?」
「そのパーティーに沖田君って……」
「ん?春風?多分呼ぶけど……どしたの?」
キョトンとした顔で返された。
「あ、いやいやなんでもないよー。確認したかっただけ!」
「?」
ちょっと不思議そうな顔をしてから、一葉ちゃんはまたおしゃべりに戻った。
一葉ちゃんと沖田君は、本人達は付き合ってないと言っている。まぁ、それは本当らしいのだが……。
傍から見てると、もはや『二人でいる方が自然』というレベルに見える。それは本人達以外のほぼ全員の共通見解なのであった。
それがどれほどのモノかと言うと……一葉ちゃんはぶっちゃけすごく可愛いのでモテるのだが、告白しようとした男共が春風君と一緒にいる一葉ちゃんを見て『あぁ、こりゃ無理だわ』と素直に諦めていくという光景が見られるレベルである。
……いやまぁ、別にベタベタイチャイチャしてるワケでもなんでもないのに、単に一緒にいるのを見るだけで自然とそう思えてしまうのがあの二人の凄いところなのだが。
「いいなぁ、私も彼氏欲しい……」
「なによ小羽。あんたは気になる人とかいないの?」
「んー、それがそんな人はなかなかいな……」
言いかけて。
先日一緒に遊びに行った吾妻の顔がフラッシュバックした。
「……………」
「……?どしたのよ小羽。固まっちゃって」
「え?……あ、いやいやなんでもない!なんでもないからっ!」
焦って手をブンブン振りながら否定する。
まったく。どうしてこのタイミングで吾妻なんかの顔が頭に浮かんでしまったのか。
……まぁ、そりゃ。
いい奴なのは否定しないけど。
「んー?さてはアンタ、誰か好きな人いるでしょ?」
「んなっ!?な、なんでそーなるのよ!?」
「ほらほら、言っちゃいな。楽になるわよー?」
「え?小羽、好きな人できたのっ!?」
その会話を聞き付けた周りの女子達まで私に詰め寄ってくる。
もう、なんでそうなるのよ―――――!
「だからぁ、好きな人なんていないんだってばー――――っ!!」