あべ☆ちほ-30
「おいおい」
いや、マジで『おいおい』だ。
まったくもって、いとも簡単に、僕にかけられてた呪いは解けた。ところが呪いは解けたあとの方が恐ろしかったという、ありがちな話。
「ま、数葉オバさんの尋常じゃない感じとか、次々と不幸があったのでみんななんとなく思っちゃったんだろうね。アンタ含めて」
「うーわー、めちゃめちゃ恥ずかしい」
なにが死神だよ、まったく。
にやり、とミヨさんは意地悪く笑う。
「もしかして死神の肩書きに酔っちゃってた?可哀想な子供だとか思っちゃってた?しかも挙句、人にそのこと言っちゃってた?」
「まるで見て来たかのように!!」
「そういうの中二病っつーんだって。へーきへーき、気付いてからでも修正きくから」
「いや、ちょっと修正きかないかも」
「まあ、それも若いってことだから。って、なに泣いてんの!?」
泣く?
その言葉が気になって自分の目じりに手をやった。
――ああ。
どうやら僕は泣いちゃってるらしいぞ。かっこ悪いなあ。
「ところで、さっきの電話。やけに固い口調で話してたけどなんだったの?」
僕はがんばって笑って言ってみた。
「ううん。ちょっとした連絡網。クラスメイトが亡くなったんだって」
けど笑えたのどうか、僕にはわからない。