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中野望のセイタイ実験
【コメディ 官能小説】

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中野望のセイタイ実験-4

『祐樹、藍子』
「「!」」
突然、黒板上のスピーカーから望の声が聞こえた。
「望? どこにいるんだ?」
『俺は別室にいる。先に話した通り、お前たちはこれから一時間そこで待機することになる。その間、何をしても構わないが、身体の異変があっても外には出られない』
「か、身体の異変って――マズくない、それ!?」
『安心しろ。おそらく気分が悪くなるということはないと思う。何かあれば呼びかければいい。教室にはマイクが設置してあるから、こうして応答することが可能だ』
スピーカーの奥で望は一息つき、言った。
『それでは、実験を開始する』


――祐樹は落ち着かなげに、ちらりと己の腕時計に目をやった。
デジタルの文字盤は15:40を指している。
実験開始の合図から十分が経ち、彼の身体には異変が現れていた。
「………」
彼の顔が赤いのはこの部屋の熱さのせいだけではない。
彼はスピーカーに向かって声を上げた。
「なあ、ちょっと外出てもいいか?」
『駄目だ』
間髪いれずに答える望に、祐樹は小さく舌打ちをした。
「いや、その……便所行きてーんだよ」
「教室に入る前に済ませておけと言ったろう。我慢しろ」
「はあ!? 無茶なこと言うなよ、便所にも行けないってのか!?」
憤ったように机を叩き、声を張り上げる祐樹。
しかし対する望の声はあくまで冷静だった。
「そうだ。それに、お前はここに来る前に既に行っているだろう? 俺が指示した通りに」
「………」
顔を顰めて再び舌打ちする彼に、望は言う。
「息が荒いぞ、祐樹」
その声が笑いを含んでいるのに、祐樹は気付いた。
「てっめ……まさか」
言いながら祐樹はちらりと藍子を見やった。
今の今まで気付かなかったが、彼女は両手で己の身を抱き締めていた。
その顔は、やはり赤い。
「なあ、マジでヤバいって!」
『………』
「おい、望! おいってば!」
『………』
途端に応答しなくなった望。祐樹は苛立ったように、机を蹴った。

「ちょ……シャレにならないだろ」
言って、彼はテントを張った自分の股間を見下ろした。
別に何をしているわけでもないのに、急に勃ってきてしまったのだ。
否――原因は分かっている。
絶対に、望の、あの薬のせいだ。
(マジかよ、勘弁してくれ)
ガチガチになっているものをどうやって収めようか。
自ら慰めるしかないだろうが、藍子の前だ。
(そうだ、藍子は?)
ふと気付いたように顔を上げ、祐樹は床に座り込んでいる藍子に声をかけた。
「お前、大丈夫なのか?」
「大丈夫なわけ、ないでしょ……!」
熱い吐息を交えて、彼女は答えた。
上気した色っぽいその表情に、思わず祐樹はごくりと喉を鳴らす。
「何なのこれ……あたし、変……」
体育座りになった彼女は自分の膝に顔を埋める。
「ゆ、祐樹も"こう"なの……?」
藍子の問いに祐樹は頭を掻きながらそうだと答えた。
スピーカーを睨みつけ、彼は吐き捨てる。
「クソ! 望の野郎、よりによってこんなもん飲ませやがって」
『命にはかかわらないが、危険なものだと言ったろう?』
「!」
スピーカーから望の声が聞こえ、二人は俯かせていた顔を上げた。
『約束は約束だ。一時間……あと、四十分ほどだが、そこにいてもらう』
「ばっ……四十分、俺もたねーぞ!?」
祐樹の言葉に、望はくくくと笑っていた。
何がおかしいと問う祐樹。望は楽しげに言った。
『俺は教室内にいるのならば、何をしても構わないと言ったぞ。何をしても、な』
赤かった祐樹の顔が青ざめる。
「何をしても……って」
ちらりと彼は藍子を見やった。瞬間、彼女と目が合い、思わず互いに視線を逸らす。


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