秘密〜未来への不安〜-1
就職試験にことごとく落ち、私は保育者に向いてないんだとヘコんでいた頃、やっと私、澤井夏実は就職先が決まった。
「おめでとう」
「ありがとう」
カチン。
彼氏の篤也が、篤也の家で就職祝いをしてくれた。
「これ全部篤也が作ったの?」
「ほとんど出来合いで申し訳ないけど、唐揚げは俺が作った」
「やった!篤也の作る唐揚げ美味しいんだよね。いっただっきまーす。…うん、おいひい!」
「良かった。これ全部夏実のだから残さず食べろよ!」
「こんないっぱいはムリだよー」
良かった、篤也今日は元気みたい。
最近は私自身、就活で不安でイライラして篤也に優しく出来てなかった。
だからこんな風に笑って話せるのが嬉しい!
「もうすぐ子どもたちから『先生』って呼ばれるなんて、なんかドキドキするよ」
「そうだな。そういやこの間のドラマ見た?山本が犯人を追い詰めて──」
まただ。
仕事の話をしようとすると話を変えられる。
何でだろう?
就職祝いまでしてくれるからいだから、喜んではくれてると思うんだけど…
聞いて欲しいこと、あるのにな…
その後、私は無事卒業し、今日は私が所属していた写真部のメンバーが、卒業祝賀会を開いてくれた。
「みー先輩、えみちゃん、なっちゃん、卒業おめでとうございます!」
「ありがとう!」
「「ありがとうございます!」」
皆でグラスを鳴らしあい祝賀会が始まった。
「しっかし、俺らより後に入学した二人が先に卒業して、もうすぐ社会人だもんなぁ、変なかんじだよ」
そう言ったのは現部長のまぁ先輩。
うちの学校は、4年制コースとと2年制コースがあって、元部長のみー先輩は4年制で教育学部英語科。
私とえみは2年制で保育科。
そして、部活の他のメンバー、まぁ先輩と陸先輩、リエルちゃんは4年制で、これまた教育学部英語科。
みー先輩とは、先輩が4年になって部活を引退してから会ってないので、久しぶりの再会!
嬉しくて、最近飲むようになったお酒をついつい飲みすぎてしまった。
「ちょっとごめん」
私は、えみにそう言い席を立った。
「大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫!」
そう笑って答えて部屋を出て、少し行ったところで
「ふぅ〜…」
壁に手をつき一息ついた。