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双子の姉妹。
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双子の姉妹。 9-6

***


「ただいまー」
三人揃って櫛森家に帰宅した。

リビングに入るとおばさんが出迎えてくれる。

「おかえりなさい、寒かったでしょ?」
「はい」
上着を脱いで、ハンガーにかけた。


そして皆、ソファーに集まると自然に定位置に座った。

「……じゃあ、結果をおしえて?」
おばさんもドキドキしているようだ。
なんとなく声がうわずっている。

「…二人とも、おばさんに報告だ」
俺が促すと、二人は声を揃えて言った。



「合格しました!」



正直、俺はずっとにやにやしていたからおばさんはすでに気付いていたんじゃないかと思う。

二人は合格を勝ち取った。

共に努力の成果が存分に発揮された結果だった。

「おめでとう!よくやったわね!」

おばさんは手を叩いて喜んだ。

「お母さんやったよー!」
琴音はいつにもましてはしゃいでいる。
琴音が毎日積み重ねた努力は、俺から見てもすごかった。
明るい琴音だから、結果を見てからずっと笑顔で喜んでいた。


「……やったよ…あたし…合格できたんだ…」
麻琴は泣き出してしまった。
よっぽど結果を見るのが怖かったのだろう。
合格がわかったときも、帰宅途中も、ずっと黙ったままだった。
ようやく緊張の糸が解けたみたいだ。


「じつはお母さんも、合格間違いなしだと思って準備してたの」
キッチンには作りかけのケーキがあった。きっと今夜の料理はとびきり豪華なのだろう。
おばさんはどんなときも二人の娘を陰で支えていた。
本当にすごい人だ。



「…これで、俺の役目も終わりだ」


俺はそうして切り出した。

「せんせ…そんなこと言わないでよ」
「そうよ俊哉…まるでもう会えないみたいよ」

だが俺は、あえて二人の言葉に反応しなかった。
「……二人とも、合格おめでとう。二人の家庭教師になれてよかった。俺からもお礼がいいたい。ありがとう」

「俊哉くん、二人は俊哉くんのおかげで合格することができたのよ。私たちがお礼を言わなくちゃいけないのに」
おばさんは笑顔でそう言った。

「いえ、俺はこの双子の姉妹と出会えて、家族の仲間に入れてもらえて本当によかったです。家族の温もりを忘れていた俺が、もう一度その幸せを感じることができた」

「俊哉…」
「せんせ…」

深く息を吸ってから、言った。



「だから、二人とは付き合えない」


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