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双子の姉妹。
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双子の姉妹。 9-5

***

「おはよう」

「俊哉、どうしたの?」
リビングに入る前に、玄関で麻琴に会った。

「あれ、せんせ、朝から何か用?」
琴音もひょこっとリビングから顔を出した。

「俺も行くよ」

「…別にわざわざ来なくたっていいのに」
麻琴はそう言いつつも笑っていた。

二人とも制服を着ている。


今日は、ついに合格発表だ。



まだ外は寒いためか、同じ方向を目指している人々は皆いろいろな防寒着を身につけている。

「さむ…」
さすがの俺も今日は冬服で固めているが、やはり真冬だとちょっとの距離でもしんどい。
こんな時は、こたつでぬくぬくしたいな。

「せんせ、なににやけてるの?」
「あ、ああ、あまりに寒いからこたつの妄想してた」
「あはは、大丈夫?じゃあこうすればいいよ」
そう言って、琴音はおもむろに俺の手を握った。
「おい!?」
「あたしも手が寒いから。協力しようよ」
そうやって満面の笑みを見せられると拒否できない。
「ちょっと琴音!ずるいわよ!」
麻琴はそう言って、もう片方の手を握ってくる。
「おいおい…」

両手に花、と言えば聞こえもよく幸せだが、これは…

二人は制服姿の女子高生だぞ、端から見れば俺は変質者じゃないか。

周りにはぱらぱらと同じように大学へ向かう受験者もいる。


でも、両手が温かい。


「…門くぐるまでだぞ、二人共、いいな?」
「はいはい」
「ずっとこうしてたいくせにー」
「…うっせ」


門をくぐると、すぐに目指す場所が目の前に現れた。

すでに合格発表の会場は、大勢の高校生でごった返している。

「ドキドキするね、せんせ」
「緊張してきた…」
「俺もお前らと同じくらいドキドキしてるし緊張してるよ」

本当だった。

特にここ最近はいろいろなことがあった。

香織の告白。
二人の告白。


どれも、俺にとって大切な出来事だった。


空を見上げて唇を噛み締める。



そうして、合格発表は始まった。


「行くぞ」
「うん!」
「…ん!」


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