双子の姉妹。 9-4
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そして数日後、まず第一関門のセンター試験が終わった。
翌日は新聞をとってない俺も、朝一番に新聞を買ってから問題と解答に一通り目を通した。
それから夕方、櫛森家へ。
「二人とも、どうだった?」
リビングでは姉妹だけでなくおばさんも一緒になって集まっている。
「大丈夫だと思う」
最初に麻琴が口を開いた。
麻琴には珍しく勉強面で強気な言葉だった。自信があるようでよかった。
「あたしも」
琴音も頷く。
琴音はあれだけやったんだ。きっと大丈夫だと思いたい。
二人とも、疲れている雰囲気はなんとなく出ていたが、自信に満ち溢れている。
その姿を見て、また感慨深くなる。
よくここまで頑張ったと。
「…よし、二次も頑張れよ」
「うん!」
「うん!」
二人は声を揃えて言った。
なんだかこの二人には滅多に見られない双子っぽさが突然出て、少し笑ってしまう。
「じゃあご飯にしましょう!今日も飛びっきり豪華にしちゃおうかな」
おばさんが笑顔でその場を和ます。
やっぱり、いい家族だな。
***
二次が終わるのもあっという間だった。
なんだか年が明けてから毎日が早く過ぎていく気がする。
それはとてもうれしいことだと思う。
うまくいけば、四月からは三人一緒に大学に行けるんだ。
もちろん楽しみだし、実際そうなるときっと楽しい。
でも、姉妹のどちらかはきっとあまり楽しくなくなってしまうんだろうな。
俺が選ばなかったほう。
俺自身も気まずくなるんだろう。
あまり家にも行き辛くなる。
麻琴を選ばなくても、琴音を選ばなくても、きっとどちらも普段はあっけらかんとしているんじゃないかな。
でも、内心はきっと傷付いている。
そうやっていろいろと考えているうちに、気付けば決心はついていた。
俺自身がこれからどうしたらいいのかを。