双子の姉妹。 9-3
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「麻琴、どうだ?調子のほうは」
翌日、麻琴との勉強を終えてからいつものように話を始めた。
「んー、ちょっと疲れてるけど体は大丈夫。言っとくけど勉強の調子なんてあたしはわかんないわよ?」
そう言って麻琴は笑う。
「そうだよな、麻琴だし」
「なによそれ」
「……はは」
「……俊哉、本当にありがと」
「なんだお前まで。まだ終わりじゃねえぞ?」
「…違うわよ。まあ、なんて言うか、やる気を出させてくれて」
麻琴はいつぞやの大きなぬいぐるみを抱えて言った。
「あたし、最初に俊哉の大学を志望校に入れたとき、ひどい結果でさ。絶対に無理だってあきらめてたの」
おばさんが言った通りだな。
「でも俊哉が大丈夫って言ってくれて、うれしかった。それだけで頑張れた。だからもう落ちても悔いはないわ」
「ばか、受かるよ」
「わかってるわよ」
「…お前な」
「…あはは、まあ、そのくらいの気持ちでやりきってやるわ」
麻琴はぎゅっと拳を作った。
「……それでこそお前だよ」
もちろん、最初に麻琴が同じ大学を受けると知ったときは驚いた。
今だって合格が確実とは絶対に言えないという状況だ。
俺だって少しは不安だし、麻琴はもっと不安だと思う。
でも麻琴は俺のこれまでの無茶苦茶な勉強についてきた。
思えば麻琴は、前にも自分の力で数学の好成績を手にしたんだ。
ガッツは人一倍ある。
奇跡とはまた違うとは思うが、麻琴ならやってくれる。
俺は二人の合格を信じることしかできない。
でもここまで二人とも頑張ったんだ。
二人は絶対に受かる。