双子の姉妹。 9-2
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「琴音、ラストスパートだぞ」
「うん!」
気付けば大学受験まであとほんの数日。
琴音はようやく今までの勉強で自信がついたらしく、その目は合格しか見えてないようにさえ思えた。
元々できる子ではあったけど、今まで真面目にコツコツと勉強をこなしてきただけあって格段に合格率も上がったと思う。
本当に琴音のひたむきさには出会った頃から驚かされたものだ。
それに、恋愛でも姉には負けたくないっていう姿をな。
「…よーし、お疲れさん」
「…ありがと、せんせ」
勉強時間を終えると、いきなりしゅんとする琴音。
「…琴音?」
「……」
だが、すぐに理由はわかった。
「琴音、なに考えてるんだよ。まだ終わりじゃないぞ。センターが終わっても二次だってあるんだから気ぃ抜くなよな」
「うん…でも、もうせんせとの勉強も終わりだなって思って」
やはりそうだったか。
「だからまだ早いって。第一、春からは大学でも会えるんだから、そんなの気にするなよ」
「…あはは、そだね。せんせと大学行くって決めたからここまで頑張れたんだし」
琴音のいつもの純粋な笑顔になんだか胸が痛む。
「……琴音、俺さ」
「あー!ご飯できたかな?せんせ、お腹すいたから先行ってるね」
琴音は席を立つと小走りで出て行った。
感付かれたか。
「……試験前に言うもんじゃないな、やっぱ」