彼女と私の恋愛事情!?2話〜”想い出”とお出かけの約束〜-3
「えっと・・・・ダメかな?」
なかなか答えを出さない私に不安そうに冬姫が聞いてくる。
「あ、全然!! 大丈夫、いつでもいいよ〜!」
その言葉にとっさに我に返りそう答える。
「本当!? じゃあまた後で連絡するね!じゃあね、バイバイ」
「うん、じゃあね〜」
こうして冬姫と別れて私は自分の家の方角に体を向ける。
その時、私はふと冬姫と初めて会った時のことを思い出していた。
―――そうそれは、ある日。
私がまだ幼かったころの誕生日の数日前のこと。
私は確かに冬姫と会っていた。
学校の帰り、私の帰る道つまりは通学路。
その時、ちょうど雨が降っていて急いで家に帰っていた時のこと。
私が帰る時いつもある公園の近くを通っていた。
そのときたまたまふと視線を向けた時に冬姫がいた。
その時はまだ名前もわからないほどの他人だったので、そのまま通り過ぎようかと思った。
でも、意識してちゃんと見たとき不自然な光景だった。
彼女は傘をさしてなかった。
そして、泣いていた。
今は冬姫が女の子と分かっているけど・・。
その時の第一印象は男の子だった。
その時は男の子と思って接していた。
「どうしたの?」
そう声をかけると冬姫はハッとしたように顔をあげ。
「な、なんでもない」
そう一言返してくる。
「ふーん、雨降ってる所に傘差さないのはおかしいと思うけど、まさか忘れたとか?」
「違う、取られただけ」
「取られたって?」
「男の子にね、傘無いから貸せよって」
そのときは男なのに情けないと思った。
だから――
「あなたも男なら、取り返せば良かったのに」
その一言を言ってしまった。
冬姫の顔が一層暗くなる、でもそれも一瞬で。