4YOU-2
「またその曲聴いてるん?」
『久々に聴きたくなって』
「俺と電話するときはいつもその曲やな」
『え、そう?』
「俺の中でのお前のテーマソング」
『これ失恋の曲なんやけど〜』
「最低やな〜」
俺にとってのこいつは失恋ソング…まさにその通りだ。
知り合って一年目に俺はこいつにフラれてる。
他に好きな人ができたり、付き合った人もいる。
でも、いつもどこかでこいつがいた。
連絡がない間は忘れているのに、連絡がきた途端に、俺の時間はまたあの頃の……こいつを好きな俺に戻ってしまう。
本当に、こいつという女はずるい。
一瞬にして俺を虜にしてしまうんだ。
…………四年間俺が好きな女。
「お前と喋ってると不思議や」
『ん?』
「何でもない」
電話を切る前になると、こいつはいつも感謝の言葉を口にする。
『ありがとう。先輩がいてよかった』って。
こいつはここ最近急に素直になった。
昔は意地っ張りな奴だったくせに。
照れるような言葉をサラッと言うようになった。
でもそれは、お互いがあの頃より少し大人になったからかもしれない。
そして、四年という時間が俺とこいつの間に信頼関係を築いたんだと思う。