弟-2
「さぼるのって気持ちいいよね」
「うん!楽しい!」
さっき私を悪い子と言ってたくせに、もう笑ってる。
それにしても、別にそうしようと事前に決めてたわけじゃないのに、こうしてタイミングが重なるなんて。
私と弟は考える事が似てるのかもしれない。
笑うツボも一緒だし、好きな食べ物も同じ。ピーマンが嫌いなのも。
「行こっか。乗って」
「うんっ!」
坂道の前で弟を後ろに乗せ、ペダルを思い切りこいだ。
前輪が道を下り始め、ジェットコースターの様に加速していく。
「すっげーー!早いよ姉ちゃん!気持ちいーーーー!!」
私のお腹に食い込んでくる弟のちっちゃな腕−
他には何の音も聞こえない。こうしてると、世界にたった二人だけしかいないみたい。
君とならこのまま空を飛べそうな気がする。
〜おしまい〜