満月-4
「あ、ごめん。起こしちゃったかな?」
「大丈夫。香奈ちゃんは身体大丈夫?」
「大丈夫だけど……。ゴメンね」
「なにが?」
「雄也君を傷つけちゃって……」
「これは香奈ちゃんのせいじゃないよ」
雄也君は優しく言う。
「これは僕が悪いんだよ」
「えっ?」
「僕はキミを守ると言ったのを覚えてる?」
告白の時に言われた言葉。忘れることのできない言葉。だから、私は頷く。
「この傷はキミを守ることができなかった、約束を守ることができなかった傷なんだよ」
彼は痛いはずなのに、歯を見せて笑った。そして、彼はまた言葉を紡いだ。
「もう一度、キミを守らせてくれないか? もう二度とキミをあんな風にはさせないし、傷つけない」
その言葉に涙が流れた。今度は悲しい涙じゃない。こんなに傷ついても私を守ろうとしてくれることに対するうれし涙。
「……ありがと」
私はそう呟いた。
End
『雑誌BBS・1192つくろう!小説で!・供養作品』