罪罰-13
【第五章-母子】
──数日が過ぎ土曜日の夕方、約束通りママが上京してきました。
僕は陰鬱な気持ちで、近くの駅まで迎えに行きました。
ママは、白のブラウス、ベージュのミニスカートに、オフホワイトのダウンジャケットを羽織り、僕を見つけるなり笑顔で近づいてきました。
7ヶ月振りに会うママは少し見ない間に、白髪が混ざり少しやつれたように見えました。
ママ:『フフッ、髪伸ばしたんだ。少し痩せたんじゃない?ちゃんとご飯食べてる?』
僕:『…うん。』
ママはとても嬉しそうです。
でも僕は何も言えず、うつむきながら、ママの横を歩きました。
ママ:『ほんと急に会いたいなんて…どうしちゃたのかしらねぇ…』
ママは心配して、うつむく僕の横に寄り添って歩いてくれます。
アパートが近づくにつれ、陰鬱な気持ちが一層深まります。
僕:『ハァ…』
僕は、ため息を吐きました。
僕:『ママ…あのね…』
ママ:『ん?どうしたの?』
僕:『今、部屋にお客さんが来てるんだ…バイト先の人が…』
ママ:『そうなの?ユウキ、バイト始めたんだ?』
僕:『うん…先月から近くのショットバーで…
で、今日急に遊びに来てて…
ついでだからママに一応紹介しとこうかなって…
お世話になってる人達だから…』
ママ:『ふーん…いいわよママなら。』
アパートに着きました。部屋の中では、パパと桐生さんが待っています。
ガチャ…
鍵を開け部屋の扉を開くと、パパと桐生さんはソファーに座りタバコを吹かしていました。
ママ:『ケホッ!ケホッ!こんにちは…』
ママが咽びながら、会釈をします。
僕:『…あっ…ママ…紹介するね。
中山さんと桐生さん。
…マ…マスターとマネージャー。』
ママ:『初めまして。いつもうちの子が、お世話になっています。』
改めて、ママが頭を下げました。
二人は薄笑いを浮かべ、値踏みするように、ママを見つめています。
そしてパパと桐生さんは,タバコを揉み消しながら立ち上がり僕とママに近寄ってきました。