双子の姉妹。 8-6
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「ただいまー」
いつもとは違った挨拶。
「お帰りなさい、寒かったでしょ?早くお風呂入りなさい」
おばさんもいつもとは違う返しだ。
でも違和感は全くない。
「いや、おばさんが先に入ってください。泊めてもらうのは俺だし」
「いいの!麻琴が先に入っちゃったから一番風呂じゃないけど、お客さんなんだから」
「…はぁ、ありがとうございます」
たしかに体は冷え切っていたのでお言葉に甘えてまっすぐバスルームへ。
まだ麻琴が入っているとかいうオチはないよな。
心配にはなったが、物音はない。
安心して服を脱ぐ。
「洗濯物は洗濯機に直線放り込んでいいからね」
だが上半身が裸になったところでおばさんが乱入してきた。
「うわっ!」
「……あらあら、もう少し遅く来ればよかったわ」
狙ってタイミング図ってたな、この人。
「冗談はおいといて、助かります」
「いえいえ、ごゆっくりー」
おばさんはそのまま去っていった。
何だったんだよ、もう。
とりあえず服を全部脱いで、ようやく風呂場に。
扉を開けると、中はかなり綺麗だった。
「……あれ、よく考えたらここって男子禁制じゃないか?」
もう一年近く三人しか使ってないんだし。
「あ…」
しかも、麻琴の入った後か…
いかんいかん、無心で体を洗おう。
慣れない風呂場なのでどれがシャンプーなのかボディーソープなのか調べるのに手間がかかったが、なんとか終了。
それにしても女性が使うこういうのって、めちゃくちゃいい匂いがするんだな。
だから女の子っていい匂いなのか?
そんなことを考えながらとりあえず立ち上がる。
「…やっぱ湯船に浸かるのは気が引けるな…でも寒いし…」
目の前には乳白色の湯船。
「…無心で入ろう。うん。」
結局、最後の最後まで落ち着かなかった。