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レンアイ☆ルーキー!〜恋の新人〜
【青春 恋愛小説】

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レンアイ☆ルーキー!〜恋の新人〜-2

彼は、イツキといった。
多香子は漢字は知らなかったが、周りと同じくいつも「イッキ」と呼んでいた。
彼は、多香子のことを「タカさん」と呼んだ。
なんでも、入部した頃に『あぶデカ』の再放送を見て、タカ、と呼ぶことに憧れていたところに、部に先輩ではあるが多香子がいたので、無理矢理そう決めたのだそうだ。
彼は、物怖じしない性格だったので、人見知りの多香子は、扉をこじ開けてくれて助かった、というのが本音だ。

「タカさーん、今日の俺の批評、どうだったー?」

「ちょっとぉ、敬語使ってよね、イッキぃ!
それよりも何よ、あの本はねー…」

二人は本の趣味が似ていたので、5月末に多香子が書評を発表してからは、度々感想を言い合うようになっていた。
とは言え、所詮中学1、2年生、読んでいたのは母親か先生に薦められたヤングアダルトと呼ばれるジャンルのものばかりだった。
多香子が熱く語り、イツキはそれに耳を傾けた上で、ひとことふたこと。

しかしその日は、イツキも発表の為に気合いを入れたであろうピックアップの本だったので、2人の議論はヒートアップした。
いつもは周囲を気にするお年頃の多香子も、普段は落ち着いた声音のイツキも、今日は止まらない。

「なぁに言ってんのよ、あれは主人公がねぇ―…」

「分かってないなぁ、あの場面では―…」

教師からすれば稚拙な読みの応酬だったが、声の大きさを鑑みると充分周囲に迷惑だったので、頃合いを見て引き離した。


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